ピピピピピとお気に入りの止まり木に飛来して、皆がその美しさにため息をつくカワセミ嬢。だが、カワセミ嬢がその優雅な姿を見せることのできる止まり木にとまれるようになるまでにはそれなりの裏事情があるようだ。
止まり木にとまっていたメスがいきなり飛んだ。その先にはもう一羽のメス。二羽は対峙すると激しく争い始めた。嘴で相手の頭をついばみ、振り回して自分もろとも水路に叩き落とす。それでも二羽は離れない。時間にして十数秒だろうか。縄張りをめぐる激しい争いは一羽の逃走で決着がついた。
あの場所にいるカワセミ嬢はただ美しいだけでなく、強いのだ。